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佐野有美さんからの応援メッセージ

佐野有美さんからの応援メッセージ

生徒の皆さんへ

はじめまして。佐野有美と申します。
私には手は全くなくあるのは短い左足とその先に三本の指があるだけです。
では、そのような状況でこのメッセージをどうやって書いていると思いますか?

 

実はいま足の指でスマートフォンを操作して文章を書いています。足を使うと言うと誰もが驚かれますが、普段から食事も足でお箸を使って食べているので、携帯の操作は最初からそこまで難しいとは思いませんでした。
また、大人になってチャレンジしたのはお化粧です。友達がどんどんキレイになっていく、「自分もキレイになりたい!」そんな気持ちが後押しして、試行錯誤しながら足でお化粧も出来るようになりました。輝きを増す友達のように「同じようになりたい」その気持ちは私に行動力と知恵を授けてくれました。ですが、振り返ると『同じ』や『くらべる』ということは、見た目が違う私にとって、重石のようにのしかかってくる時期がありました。


学生時代、ささいなことで友達と仲たがいをしてひとりぼっちになってしまったことがありました。性格の問題だったのに、当時はすべて障害のせいにしてしまったのです。物を落としても拾えない、走ることも手さえつなぐことができない……。悪い考えは谷底に転がる小石のようにどうにも止まらなくて登校拒否になったり……。その時に母がこう言ってくれたのです。「有美は有美らしくが一番よ」その言葉にハッとしました。「自分らしく生きればいいんだ」そう思うと、心がすーっと軽くなったのをいまでもよく覚えています。誰もが自分らしく生きればいい、立ち止まることがあってもいい、悩むことがあってもいい。将来が見えなくてつらく苦しい時は、自分探しの旅の途中だと思えばいいのです。暗いトンネルの中で、少しでもやりたいな、と思うことがあったら勇気を出して途中下車してみてください。夢や希望、そして差し伸べられる手はいつでもあなたのそばにあります。それに“気づくか気づかないか”は自分次第なのです。


厳しい社会に出ると、理想と現実のはざまで心が揺らぎます。ですが、いま私はとても幸せです。なぜなら体は不自由でも心に障害を持たなかったから。それは愛情をかけて育ててくれた家族や支えてくれたたくさんの方々のおかげです。これからも講演や歌を通して、この体で生まれたからこそ伝えられる「あきらめない心」「感謝」「希望」「夢」など、様々なメッセージを笑顔と共にトップの生徒の皆様にも届けていきたいと思っています。

 

 

 

佐野 有美(さの あみ)「車椅子のアーティスト」

佐野 有美(さの あみ)

「車椅子のアーティスト」
生まれつき手足の欠損というハンディがあるからこそ語れる『あきらめない心』『感謝の気持ち』『チャレンジ精神』など、さまざまな想いを講演やメディアを通じ精力的に発信中

 

略歴

1990年4月6日生まれ。愛知県出身。

先天性四肢欠損症で生まれ、あるのは短い左足と3本の指のみ。高校在学中、チアリーディング部に所属し、地元マスコミで話題となる。高校卒業後、事務職を経験したのち、本格的に講演活動を開始。その後、声をいかしアーティストとしても脚光を浴びる。 2011年6月、自らの詩集『あきらめないで』から選ばれた詩が曲になり、㈱テイチクエンタテインメントからCDを発売。アルバム「あきらめないで」は2011年、第53回、輝く!日本レコード大賞の 「企画賞」を受賞。リリースした曲はすべて自身の作詞によるもので、多くの人に歌で気持ちを伝えたい、と意欲を見せる。現在、テレビ・新聞・雑誌などメディアの取材や多方面から歌や講演依頼を受ける。 2015年には、東京コレクションでモデルとして起用され、NHKではドラマのヒロインとして抜擢され演技でも高評価を受ける。(Eテレバリバラ特集ドラマ)。

 

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